大阪市出身の世界的建築家、安藤忠雄さんが設計した図書館「子ども本の森中之島」が2020年7月5日に開館しました。国内外の約1万8千冊の絵本や児童文学に加え、隠れ家的な読書スペースなど安藤さんのアイデアが随所につまっています。前川千陽(ちはる)館長に図書館の特色や見どころを教えてもらいました。新型コロナウイルス感染症の影響で当面は完全予約制となっています。予約の方法や同館の新型コロナ対策も詳しく紹介します。
こども本の森中之島の予約方法とコロナ対策
予約方法
当面の間は、事前予約制となっており、予約がないと入館ができません。予約時間帯は①9:30〜11:00、②11:30〜13:00、③13:30〜15:00 、④15:30〜17:00です。1回あたりの定員は50名まで、予約可能人数は5人まで。土日祝は中学生以下の子ども連れのみ。平日は大人だけの予約も可能です。予約は以下のサイトにアクセスして行います。ただし、すでに20年7月の予約は満了しています。予約開始日時も案内されているので、その日時に合わせてアクセスしてみましょう!なお、子ども本の森は、本の貸し出しはしていません。
https://kodomohonnomori-osaka.resv.jp
新型コロナ対策は
小さい子ども連れで来館する上で気になるのがコロナ対策です。子ども本の森では、以下のようなコロナ対策を実施しています。
- 1日4回ある来場者の入れ替え時に換気する
- 読み終わった本は返却用ブックトラックに戻し、書籍消毒器で消毒
- 3歳以上の子どもと保護者はマスクを着用
- 入館時に検温し、37.5度以上の場合は入館を断る
- 過去2週間以内に発熱、風の症状がある場合には入館を控えてもらう
安藤さんのアイデアが随所に
前川館長は「この図書館は、安藤さんが考えた子どもたちが本に夢中になってしまうアイデアがあちこちに詰まっています。プレオープンでは『帰りたくない』という子どももいました」と教えてくれました。
安藤さんは、建築界のノーベル賞とも呼ばれる「プリッカー賞」を1995年に受賞し、日本初の児童専門書の国立図書館「国際子ども図書館」(東京都台東区、2000年開館)や児童館「兵庫県立こどもの館」(兵庫県立美術館姫路市、1989年開館)なども設計しています。
まさに本の森 3フロア分の本の壁
建物は3階建てで床面積800平方メートル。浮き抜けを生かした明るいつくりになっている。建物内に入ってまず驚くのが、3フロア分の壁がすべて本棚になっていることです。本はしっかりと固定されており、地震が来ても落ちてくることはありません。もちろん、 本棚の上段には手は届きませんが、ちゃんと下の本棚に同じ本が置かれています。
秘密基地のような読書スペース
安藤さんらしい読書スペースもあります。次の写真は階段の裏の少し奥まった場所を利用した読書スペースです。「大人だとかがまないと、頭をぶつけてしまいそうですけど、子どもはこういう場所が大好きですよね。引き出しを開けると、そこには秘密の本が入っているという仕掛けです」と前川館長。
次の写真は、本棚の中にある読書スペースです。
子どもが座っときに、外の景色も楽しめるような読書スペースもあります。本棚と読書席、外の風景とをうまく融合した空間づくりとなっています。
こども本の森中之島で静寂の円筒状のスペース
図書館の1階には、天井の丸い穴から光が差し込む、円筒状のスーペースがあります。静寂の空間です。「何もないからこそ、想像力が膨らんで、いろいろなことを深く考えるきっかけになるような場所です。映像作品を投影するような使い方も考えています」と前川館長。
こども本の森中之島の蔵書の特徴
好奇心に沿って12のテーマに
国内外から寄贈された絵本や児童文学、図鑑など約1万8千冊は、子どもの好奇心に合うように12のテーマに分かれてています。
1自然とあそぼう、2体を動かす、3動物が好きな人へ、4まいにち、5食べる、6大阪→日本→世界、7きれいなもの、8ものがたりと言葉、9未来はどうなる?、10将来について考える、11生きること/死ぬこと、12こどもの近くにいる人へ
例えば、「体を動かす」には、スポーツ選手の伝記やルールブックなどに加えて、人の体を知ることができる本も並びます。「うんち・おなら・おしっこ」という本棚もありました。多くの公共図書館やブックスペースを手がけているブックディレクターの幅允孝(はばよしたか)さんを代表とするBACH(バッハ)が選書に関わっています。
「あの人の本棚」 初回は山中伸弥館長
図書館の入り口すぐにあるのが、「あの人の本棚」です。著名な学者や芸術家らが子どもの頃に影響を受けた本を紹介するコーナーで、初回は、ノーベル賞受賞者で名誉館長でもある山中伸弥・京都大学教授です。星新一さんの「ショートショートセレクション」など数十冊を選んでいます。
こども本の森中之島イベントは当面中止
同館は、様々なイベントの開催を予定していましたが、新型コロナの感染拡大を防ぐために、当面の間はイベント開催は中止するそうです。前川館長は「コロナが収束したら、読み聞かせ会や音楽会も開いていきたい」と話していました。
こども本の森中之島オリジナルグッズ販売
同館では、オリジナルグッズも販売しています。お土産にも喜ばれそうな商品ばかりです。中でも、プレイベントなどでも一番人気だったが「青いリンゴアメ」。1948年大阪創業で、パイナップルの形をした飴で有名なパイン株式会社が、子ども本の森のために作ったオリジナル商品です。図書館の入り口近くにある「永遠の青春」と名付けられた青リンゴのオブジェにちなんだ商品です。税抜き300円です。
こども本の森中之島への寄付方法、本の寄贈、ボランティア
子ども本の森では、寄付の協力を呼びかけています。本の寄贈やボランティアは現在は受け付けていません。個人の寄付は、インターネット上で申し込み、クレジットカードでの支払いも可能です。寄付金額に合わせて、住民税等の減額を受けられます。法人での寄付は、一括もしくは5年分割が選べ、全額を損金参入できます。寄付すると、特典として、大阪市のホームページで名前や法人名が公表されます。10万円以上の寄付で、市長感謝状を贈呈、30万円以上で施設内に名前を記した板が設置されます。
申し込みは以下のホームページから可能です。
https://kodomohonnomori.osaka/donations/
安藤忠雄さんのメッセージ
子ども本の森を設計した安藤さんは、子ども本の森の建築費用を自ら負担し、運営費用も自ら呼びかけ人となって寄付を募りました。著名大学を卒業したわけではなく、独学で建築を学んだ立志伝の人です。そんな安藤さんは小さい頃に細菌学者の野口英世さんの伝記に影響を受けたそうです。1冊の本が時に人生をも変える。そうした大切な経験ができる場所です。
最後に、安藤さんのメッセージをプレスリリースから引用します。
「地球は一つ。これからの社会を担っていく子どもたちには、元気よく自由に世界に向け、羽ばたいてもらいたい。そのためには幼い頃から本を読んで、豊かな感性や想像力を育むことが大切です。新しくオープンする「子ども本の森中之島」が子どもたちと「自分だけの一冊」との大切な出会いの場となることを期待しています」
こども本の森中之島の近隣立ち寄りスポット
ランチ アリア 親子連れで OK
ランチにおすすめなのが、子ども図書館から500メートルほど北浜の駅に向かった場所にあるイタリアンレストラ「ボーン グランデ アリア」(大阪府大阪市中央区北浜2−1−3)です。子ども図書館を対岸に望みながら、バルコニー席で食事を楽しむことができます。ベビーカー連れのママさんたちも見かけました。アリアランチ1500円が前菜3種+選べるパスタ+デザート+ドリンク付きでおすすめです。子ども本の森と同じ月曜日が定休日です。
大阪市中央公会堂
堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島にあるこども本の森の周辺はお散歩エリアとしてもぴったりです。近くには、1918年竣工で、国指定重要文化財の大阪市中央公会堂があります。ネオ・ルネッサンス様式を基調に、バロック的な壮大さを持つ、日本屈指の公会堂建築です。アルベルト・アインシュタインやヘレン・ケラーなどの歴史的人物の講演も開かれました。安藤さんの建築との違いを子どもと語り合ってもいいかもしれませんね。
こども本の森中之島アクセス・行き方
住所 | 〒 530-0005 大阪府大阪市北区中之島1丁目1−28 |
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電車の場合 最寄り駅 |
・京阪中之島線「なにわ橋駅」3号出口すぐ。 ・地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅」1号出口東へ約400m ・地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜駅」26号出口から北へ約400m |
車の場合 | 駐車場なし |
子ども本の森中之島の基本情報
住所 | 〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島1丁目1−28 |
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営業時間 | 午前9時30分から午後5時 |
休日 | 月曜日。月曜日が祝日の場合は開館し、翌平日は休館。年末年始 |
電話番号 | 06-6204−0808 |
利用料金 | 無料 |
ホームページ | https://kodomohonnomori.osaka |